100の読者、100の経験[070]


室内 直美

 

大学院生

2018年11月26日 自宅のソファーにて
2018年11月26日 自宅のソファーにて

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— どうでしょう。一緒に宇宙船を作るのは。

p7 14行目

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

『言葉の宇宙船』その言葉がどんな物体・概念を意味するのか、この本を手にするまで私は、今とは全く逆のことを思い浮かべていた。

当初考えていたのは、言葉を詰め込んだ宇宙船の姿だった。これまで私たちが創り出し、紡ぎ出してきた言葉たちを、遠い未来に届けるためのカプセルのようなものと考えていた。

でもそれは、違った。

『言葉の宇宙船』は言葉渦のなかを漂い、くぐり抜けていくための私たちの船なのだ。これまで私たちが紡ぎ出してきた言葉たち。そして未来の人々が語る言葉たち。それを俯瞰し、理解するための、私たちのための乗り物なのだ。

 

本書の金色の帯を見て、私は真っ先に「ボイジャーのゴールデンレコード」を想起した。私たちの存在やその文化が記録され、未知の何者かに届けるための金の円盤。でも今は違う。これは宇宙船のための「サーマルブランケット」だと理解している。

荒ぶる言葉の渦のなかを飛んでいく、私たちをやさしく包むための。



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