100の読者、100の経験[068]


三木 学

 

文筆家/編集者/色彩研究/

ソフトウェアプランナー

2018‎年‎11月‎21‎日 京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab[D-lab]
2018‎年‎11月‎21‎日 京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab[D-lab]

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— リーディンググループは、いま現代美術でも、積極的に使われているなと感じます。今年、我々もそれぞれさいたまとあいちとで国際展を行いますが、「国際」なので、アーティストやキュレーターが世界各国から参加するわけですよね。そうすると、距離が離れているので、ぱっと顔を合わせて、すぐいっしょに何かをつくるのは難しい。そこで若手のインデペンデントのキュレーターやプロデューサー、コーディネイターたちが、リーディンググループをやっているんです。普段は本を読んでチャットをする程度ですが、一年に一度くらいどこかに集まって、感想を言い合いましょう。で、「こういうキュレーションでいきましょう」という話になる。

p.89 14行目25行目]

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

今、「キュレーション」の変革・転回をテーマにした本を制作しています。とある大学で行われた80年代から活躍するアーティストが「キュレーション」について語り合ったシンポジウムの記録を基に、ワークショップをしながら参加型の編集を行うのです。

 

そこで、僕はソーシャル・リーディングをアナログでやってみましょうと提案しました。具体的には参加者に京大式カードを配って関心のある箇所を書いてもらい、膨大なテープ起こしのプリントの上に置いていくのです。そこには関心の宇宙が視覚化・共有化され、読み手から本が編集される可能性が示されています。

 

本を書いている人間は、意外にどこが読まれているか把握していないものです。でも、中の一節は、著者や編者の意思を離れて旅立っていきます。『言葉の宇宙船』は、「ボトルメール」と言い換えてもいいのではないでしょうか?偶然見つけた読者から返信を待つようなロマンチックなエージェントとして…。



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