小菅 謙三
宣伝美術家/空のアトリエ
Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。
—————— すると、ドン・ファンが葉っぱを一枚お腹の上に置いてくれるんですよ。その途端にじわーっとその葉っぱから熱が伝わって、全身がぽかぽかしてくる。そういう一節があったように思います。
こうしたイメージというのは写真や映画ともまた違っていて、言葉でないと伝えられない類のものです。
[p55 14行目ー19行目]
Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。
「言葉でないと伝えられないもの」という感覚にとても共感します。
言葉が連なって、イメージを喚起するとき、風が吹いたり眩しかったり、感情とは別のものに牽引されて物語が前進していくとき、すごく自分が試される感じがします。
今はリッチコンテンツにあふれているのでじっくり読書するチャンスが自分自身減っています。
選んで、読んで、想像して、期待して、進んでいって、ほどよく忘れる。それをすべて自分でできるエゴイスティックなところが本の最強なところだと思います。
自分は絵を描くのが好きなので、あるいは「絵画でないと伝えられないもの」に興味があります。
一枚の絵画に「すべて在るなぁ」と感じ入るそれは、読書に没入している感覚にとても似ています。
何が似ているか?
能動的なところです。
人によって印象や感想、効能が全く違い、好きか嫌いか、が最後まで尾をひくところもそっくり。
設問がすり替わりますが、「絵画でないと伝えられないもの」を描こうと想っています。
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