100の読者、100の経験[060]


松田 法子

 

京都府立大学

2018年8月3日 複数の国境、言語、民家の形式が襞を織りなす山岳地帯。海抜1500メートルのこの村では、家々の来し方がラテン語で壁に書き記されている。
2018年8月3日 複数の国境、言語、民家の形式が襞を織りなす山岳地帯。海抜1500メートルのこの村では、家々の来し方がラテン語で壁に書き記されている。

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— 手が出ないと思っていた巨大なシステムに対し、小さくて、フットワークの良い、もうひとつの別のやり方をつくり出す。

p176 14行目 ー 15行目]

 

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

ある巨大な山脈のなかにつくられてきたまちと村を、数年かけてまわっている。人が大地に棲み着き、その表層を少しだけ掘ったり積んだりしながら生きてきたありさまに、いま改めて惹かれているからだ。

 

「全体」とは巨大だけれど、人はその一端に触れることで、システムの総体を想像し、そこに見合うサブシステムを編んでいくことはできるかもしれない。そしてこれからは、その総体をさらに活力づけるようなサブシステムをさえ、考えていかなければならないのだろう。地球に棲むことのよりよい受け継ぎにとって、そういう想像力は不可欠だ。その想像力を、鍛えよう。そしてその想像力は、言葉であらわされ、ひろげられるほかない。少しでもその糧を得るために、この夏も旅に出ました。その道すがらに。



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