100の読者、100の経験[052]


中田 一会

 

広報コミュニケーションディレクター(きてん企画室)

2018年6月14日
2018年6月14日

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— 我々の身体のアナロジーで考えてみると、本に肉体性がある限り、エロティシズム、色気というのは忘れてはいけないと思う。露骨な表現になるかもしれないけど、肉体を持つということは「抱ける」ってことだ。コンテツは抱けないよね。タブレットも抱きたくない(笑)。

p122 4行目ー7行目]

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

「また書いてしまった! 軽い…」

 

そんな自己嫌悪に陥るのは、仕事の企画等で「〜を共有します」と、文を締めたとき。

 

SNSが浸透してから、「共有(シェア)」という言葉の使用頻度が上がった。どれだけシェアしてもデジタルコンテンツは劣化しないし、手を振るぐらいカジュアルな所作だ。しかもフラットで、オープンで、ポジティブな雰囲気を伴う。だから「共有します」は使いやすいし、同時に軽すぎて困る。

 

本来、持ち物を共有するには、覚悟が伴う。皆で使えば失くすリスクは上がり、傷みも早い。物質的な限度もある。だからこそ「持ち合う」「分け合う」は特別なことなのだ。限りある大切なものを、あなたと分け合う。あなただから渡す。そこに意味が宿る。

 

例のモヤモヤはきっと、色気を巡る危機感から来ているのだと思う。重さ、匂い、分配、肉体……本書を捲るごとに、そんな言葉に心惹かれる。「共有」を、もっと大切にしなくては。



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