蟻川 小百合
アートプロジェクトスタッフ
(水と土の芸術祭2018)
Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。
—————— では本の方は、生まれてから死んでいくまで、一体どんな旅をしていくのか?ここからわたしたちは、本の外縁ということに意識を向けていった。
[p175 20行目ーp176 1行目]
Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。
2017年の夏至の日、二冊目の『言葉の宇宙船』が私のもとに行き着いた。私の新たな門出に、仲間たちが贈ってくれたのだ。その場にいた芹沢さんが、本の「扉」に日付と記念の言葉を書いてくれた。持っている本をもらった訳だが、二冊の同じ本は、私にとってそれぞれ全く別のものになった。(そう思うのもこの本を読んだ影響に違いない。) 一冊を実家の本棚に残し、もう一冊は引越しのダンボール箱に詰め込んだ。
そしてそれから暫くして、私は移り住んだ先で、一冊の本との遭遇が紡ぎ出す物語の目撃者となる。その本は作り話の絵本だが、実在した人物に基づいて作られたものだった。亡くなってしまったその人に会うことはできないが、絵本を作った人たちに会うことができる。家族に会って話を聞くこともできる。たった一冊のローカルな絵本が、思いもよらぬ出会いを生み、人を結ぶ。言語や時間をも越えていってしまうその様は、まるで小さな宇宙船のようであった。
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