100の読者、100の経験[048]


猪熊 梨恵

 

札幌オオドオリ大学 学長

2018年5月14日 娘が寝ている間に本を読む
2018年5月14日 娘が寝ている間に本を読む

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— 港|僕は、旅先で本を買うことが一番多いんです。それは検索して買うんじゃなくて、まさにライブラリーエンジェルによって。心理学ではマイクロスリップって言うらしいのですが、ある本を手に取ろうと本の背に指をかけようとして、ふと指が滑って、隣を取っちゃうことがあるんですよね。その隣に天使がいるっていうことなんだろうと思いますけど。そうやってどんどん増えてきたのが僕の本なので、まったく脈絡がないんです。

p67 1ー8行目] 

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

言葉の宇宙船が手元にやってきてから、ぱらぱらとめくり、最初にたどり着いた場所がここ。対話が乗っている本はなんだかこうやって、拠り所をつくって読み始めるのが癖なのかもしれない。

 

抜粋した、港さんの「僕は、旅先で本を買うことが一番多いんです」という一言に、私もそうかもしれない、と引きつけられた。

目的を持って本屋さんに行き、言葉に出会うことももちろんあるけれど、旅先で言語が違ったり、景色がいつもと同じじゃないだけで、何かを持ち帰りたいという欲が湧いてくる。そして、時にはろくに読もうともせずに、紙質やその匂いだけで満足することもある。

 

まさに手にしようとしていなかった、普段なら興味を持たないキーに、ライブラリーエンジェルが「こっちだよ」と導いてくれた感じがする。本は棚に押し込まれようとも、その場所の香りがしてくるから不思議だ。



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