100の読者、100の経験[047]


手島涼仁

 

僧侶/東長寺

2018年4月22日 宮城県気仙沼本吉の清凉院さん
2018年4月22日 宮城県気仙沼本吉の清凉院さん

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— そろそろ直線的機械的世界観ではない、プロセスにまなざしを向けた生命的世界観が見直されてもいいのではないでしょうか。

そんなものの見方に立てば、たった一つの何かでまとめあげようとする単純な世界ではなく、こうした小さな印刷物たちが数多く自生、共生する、生き生きとした複雑な世界が見えてくると思うのです。

p37 10ー16行目] 

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

職業柄、日常的に「死」と向き合っています。そんな日常の中で一つ気付いたことがあるとすれば、「死とは、生者に与えられた唯一の特権」だということです。生まれ、生きてきたからこそ死を迎える。その厳然とした事実に気づいた時、100の死者には100の生き方があったということにも、気づかされます。「死」という言葉は万人に共通ではあるけれど、その言葉に含まれる記憶は、その死者を知りえた人の数だけ数倍にも、数十倍にも、数百倍にも広がります。戦争や大きな災害などは、一つの固有名詞で片づけられてしまいますが、本来は少なくともそこで死んだ者の数だけの戦争や災害が起ったことが忘れさられ、そしてその数十倍の記憶が眠っていることも気づかない、もしかしたら今はそんな世界なのかもしれません。

 

「プロセスにまなざしを向けた生命的世界観」とは、まさに一人一人の生き方に目を向けた世界観であり、そして一人一人の死をしっかりと受け止め記憶を紡いでいく、これからの私たち寺の在り方、僧侶の在り方の指針になる言葉だと受け止めています。



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