100の読者、100の経験[038]


黒坂 祐

 

美術家

2018年2月28日
2018年2月28日

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— 意識のグローバル化としなくてもいいグローバル化とが混在して、さらに意識のほうがローカライズして縮んできてもいる。「グローバルに考えて、ローカルに行動せよ(Think Globally, Act Locally)」というスローガンがあったけれど、それとは逆に「ローカルに考えて、グローバルに行動する」現実が増えてきている気がしてならないですね。

[p97 19行目ー24行目]

 

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

私は美術のフィールドでこの逆転現象をよく目にします。そしてそれが過剰にもてはやされているのも。

考えてみれば当たり前なことで、国にとって都合のいいものは残し、それ以外は黙殺してしまおうというのはずっと繰り返されてきたことだから。

美術は時代の鏡とよく言われますがとんだ皮肉です。

美術は鏡であってはならない。必ずいまいる時代より先を志向するものでなくてはならないと思います。

「グローバルに考えて、ローカルに行動せよ(Think Globally, Act Locally)」。

この言葉は慌ててグローバル化を推し進め、なんとか体裁を取り繕おうとしているいまの日本にこそもう一度スローガンとして掲げるべきだと思いました。それは決して懐古ではなくて、この国が見落としたものを拾い上げ、嘘のない時代をつくるためです。

この魔法の言葉で虚栄の霧を払い、自らの足元をしっかりと確認した先に本当のものがつくれるのだと私は信じています。

 



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