100の読者、100の経験[027]


辰巳 真理子

 

軽井沢風越学園設立準備財団 事務局

2017年11月24日
2017年11月24日

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— 港|やはり本というのは、ただのプロダクトではないような気がしますね。

芹沢|言葉も書かれているけれど、やはり物質的な塊ですよね。そうすると当然、その本自体も年を取っていくし、自分の肉体がその物質と出会って、一緒に同じように年を取っていく。だから、ある言葉が合言葉として聞こえてくると、その本と出会い、歩んだ自分の人生が紐づいてきて、ただのキーワードを共有した以上の何かが産まれてくるんじゃないだろうか。

港|それはやっぱり物質として「そこにある」ということが条件ですよね。何度引っ越しをしても捨てられない本があったりして、そういう本に限って読んでなかったりしますもんね。

芹沢|そうそう、よくある。

港|30年ぐらい経って、えいやってページを開いてみたら、読んでいない部分に決定的なことが書いてあったりしてね(笑)。

[p93 11行目ーp94 4行目]

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

プロジェクトブックのクラウドファンディングのことを知った時、初めての子育てが始まったばかりでした。しばらく仕事からも離れていたので、本をつくる予定があるわけでもなし、それでもなぜか、自分にとって大切な本になる予感がしました。

 

本が届いた後も、ゆっくりと読む時間は取れぬままでしたが、縁あって始めた仕事で、本をつくるかもしれないという話が持ち上がり、あぁこのためだったのか、と妙に合点。嬉しくなりました。

 

本屋や図書館で、びびっと来て手に取った本がその時の自分にぴたりとくる、というような経験も、ままあります。amazonなどで買うと、この感覚はなかなか得づらい。この本を通じて物質的な塊としての本の魅力を再発見するとともに、きっと、つくり手がそのプロセスに何を込めるかで「そこにある」佇まいが変わってくるのだな、と思っています。



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