100の読者、100の経験[026]


清水 裕貴

 

写真家

2017年11月10日 今住んでいる町は枯れた畑くらいしかないですが、そのぶんとても静かなので、天気のいい日は外で本を読みます
2017年11月10日 今住んでいる町は枯れた畑くらいしかないですが、そのぶんとても静かなので、天気のいい日は外で本を読みます

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— 芹沢|…ある言葉が合言葉として聞こえてくると、その本と出会い、歩んだ自分の人生が紐づいてきて、ただのキーワードを共有した以上の何かが生まれてくるんじゃないだろうか。

港|それはやっぱり物質として「そこにある」ということが条件ですよね。

[p93 16行目ー21行目]

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

「合言葉」として聞こえてくる単語の多い本でした。ある言葉に誘われて別の場所に行って、また別の言葉を契機に戻ったり戻らなかったりしながら、のんびり読みました。

 

64ページのチャトウィンについての楽しい会話を読んでいた時に、そういえばパタゴニアという本を見たことがあるような気がする…と思って本棚を漁ってみたところ、そこにあったのはチャトウィンではなく、タヒチ近海で行方不明になった日本人登山家の『パタゴニア探検記』でした。家族の誰かが昔買ったもののようです。登場人物は上に上に登っており、最果ての地で暮らす変な人は出てきませんでしたが、パラパラとページを捲っていると、ある文章が目に留まりました。

 

「この南の果ての夏の日はながい」

 

思わず「夏への扉」を夢想し、また金色の宇宙船を開きました。他愛のない回り道ですが、こういった行為の時間にも、言葉にできない「何か」を感じます。



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