下山 彩
krautraum
Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。
—————— 港|こうしたイメージというのは写真や映画ともまた違っていて、言葉でないと伝えられない類のものです。ブルトンもそうですが、若い頃にこうしたイメージと出会うというのは大事な経験だと思いますね。
芹沢|まったくそう!言葉ならではのイメージの力というのが確かにありますよね。そこに言葉しかないから、逆にイメージが膨らんでいく。まったくそう思います
[p55 18行目 — 24行目]
Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。
まずはお互いがこれまでに読んできた本を紹介してみるという状況の中から、プロジェクトの輪郭が徐々に形作られていく、そのスリリングな過程が現場の臨場感とともに伝わるような一節でした。
対話とは、考え抜かれたうえで構築された文章とは異なり、当日のお互いのコンディションや事前の出来事、トークイベントであれば観衆の温度までもが影響しながら、即興的に魅力的な言葉を生み出すのだと思います。
一冊の本に対峙する時の脳内では、まさに「そこに言葉しかないから」こそ、イメージを膨らませなければならない。イメージに到達したいという、強い意志と欲望が発生しているのだと深く共感しました。
日頃、美術作品に係わることが多く、視覚芸術と並列に言葉を用いるケースにも度々出会います。写真や絵画、映像でしか、言葉でしか成し遂げられないものとは何かを問い続けるための指針が、この対談の随所に散りばめられているように感じました。
「100の読者、100の経験」の詳細はこちら