100の読者、100の経験[010]


大高 健志

 

MotionGallery代表/popcorn共同代表

2017年7月11日 会社の本棚
2017年7月11日 会社の本棚

Q1:本書を読んで印象に残っている一文があれば教えてください。

—————— 人数的に言うと、核となるのは150人だと思います。

ダンバー数ってご存知でしょうか? 進化心理学者、ロビン・ダンバーによると、一人の人間が安定した関係を維持できる個体数の認知的上限は、平均150人だと言うんです。つまり、気のおけない仲間ですね。ダンバーの『人類進化の謎を解き明かす』を読むと、このサイズの仲間たちが持っている創造性がいかにすごいかがわかります。焚き火を囲む会話も、物語や芸術が生まれたのも、たぶんここから。闇雲に人を集めて目標額を達成するのではなく、賛同してくれる気のおけない仲間ができるかどうか。核となる150人で顔の見える関係がつくれたら、ファンディングは成功だと思います。

[p138 3行目 — 12行目]

 

Q2:その一文から感じたこと、思ったこと、考えたことを教えて下さい。

 

「核となる人数は150人」。

 

この言葉には、これからの創作活動にあたる上での、非常に重要な態度が詰まっていると感じました。これまで大量消費大量生産社会において「マス」というものが存在し、そこに働き掛けることが重視されてきたと思います。

 

しかし、これからも本当にそうなのだろうか? 「マス」と向き合うことは本当に肉体性を持つ本づくりにつながるのだろうか? そんな問いに答える言葉ではないだろうか。

 

「少数の熱狂」と向き合う事は一見原始的なようで、実はクラウドファンディングの鉄則。本当に革新的なものづくりに必須なのではないかと日々MotionGalleryの運営を通じて感じていた実感に非常にリンクする言葉です。

 

今、インターネットの世界の膨張により、文化や行動形態は逆に先祖返りしていると感じています。もしかしたら、デジタルの力で古き良き時代の行動が合理化され、本質的な価値がみなされているのかもしれません。そんな中での本のあり方、それを、この本を日々手元において反芻して行きたいと思います。



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